お経の「巻・品・偈」はどう違う?一節の場所が分かる読み方

法話で聞いた「薬草喩品」を探して、経本を開く。すると、ページの上には「妙法蓮華経巻第三」、その下には「薬草喩品第五」と書かれています。第三と第五、どちらを覚えればよいのでしょうか。

巻は本文を分ける大きな単位、品は章の区切り、偈は韻文の形をした教えです。数字が違うのは、数えているものが違うからです。さらに、手に持っている本の冊数も別に考えると、経本の中で迷いにくくなります。

「巻第三」と「品第五」を、一つの場所として読む

漢訳『妙法蓮華経』巻第三は、薬草喩品第五から始まります。続いて授記品第六、化城喩品第七へと進みます。一つの巻に複数の品が入っており、巻の番号が変わるたびに、品が第一へ戻る構成ではありません。

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「品」は章に当たる言葉で、経典により「ほん」「ぼん」などと読まれます。薬草喩品であれば、薬草などの草木と雨の譬えを通して、仏の教えが人々に届くあり方を説く章です。品名は、読む場所と、その章で出会う話題の両方を示します。

表題の中で、何を指しているか

表示この例での役割
妙法蓮華経経典の題名
巻第三その本文を分けた巻の位置
薬草喩品第五経典全体の中の第五の章
而説偈言ここから偈を説く、という文中の案内

たとえば人に質問する時も、「法華経の第三」とだけ言うより、「薬草喩品第五の、雨の譬えのところ」と伝えれば、探す範囲が具体的になります。巻の番号を忘れていても、品名が分かれば、別の版を持つ相手と同じ章を開けることがあります。

一巻は、いつも一冊なのか

手元の本を二冊と数えることと、本文の巻を二つ数えることは、同じとは限りません。一冊の中に複数の巻を収める形もあるためです。目次に巻の区切りが残っていれば、一冊のページをめくっている途中で「巻第二」が始まることもあります。図書館の資料表示も、こうした違いを区別しています。国立国会図書館の開館六十周年記念貴重書展の案内は、書誌事項に巻数と冊数をそれぞれ設け、冊子本を「冊」、折本を「帖」、巻子本を「軸」で示しています。巻物、折りたたんだ本、冊子という実物の形と、書かれた本文の分け方を、別々の情報として見るためです。

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そのため、法話の先生と同じ品を読んでいても、ページ番号が違うことがあります。文字の大きさや現代語訳の有無が違えば、ページの進み方も変わります。別の本へ移る時は、ページだけでなく、経典名、品名、本文の始まりも手がかりにできます。

長行から偈へ、雨の譬えがもう一度語られる

薬草喩品の前半は、仏が摩訶迦葉たちへ語りかける文章です。さまざまな大きさの草や木に、同じ雲から雨が降り、それぞれが水を受けて育つ。その譬えが、衆生に応じて法を説く仏の働きへと結びつけられます。このような散文の部分を「長行」と呼びます。

途中に、同じ意味を重ねて明らかにしようとして、偈を説くという案内が入ります。漢文では「爾時世尊欲重宣此義、而説偈言」という箇所です。その後は「破有法王」「出現世間」のような、区切りのある詩句が続きます。ここで別の経典へ移ったのではなく、同じ品の中で、語る形が変わっています。

偈には、雲が広がり、雨が降り、草木の根や茎、枝や葉、花や実が潤う様子が、改めて描かれます。同じ雨を受けても、草木の大きさや性質は異なる。前半で読んだ譬えが、短い句を重ねる形で展開されていきます。

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仏の法が「一味」であるという説明も、長行と偈の両方にあります。その一味は、何でも同じ意見にそろえることではなく、解脱や涅槃へ向かう法として説かれます。偈の「其法一味」を見つけたら、前半の「一相一味」の説明も読めます。文章の形が切り替わる場所を知ることは、教えの同じ主題が、どのように繰り返されるかを知ることでもあります。

偈の区切りは、意味をたどる手がかり

偈を見つけると、四句ずつ線を引けばよいのかと思うことがあります。ただし、偈の形は一律ではありません。『大智度論』巻三十三にも、六句・三句・五句など、句数が定まらない偈の説明があります。すべての本文へ同じ区切りを当てはめるより、いま読んでいる経本の形を確かめます。

また、字数で一つの句を区切れても、その句だけで意味が完結するとは限りません。自我偈の冒頭も、後の句へ意味がつながります。声に出す区切りと、誰が何を言っているかをつかむ読み方は、互いに補い合います。

偈がいつも長行の後に置かれるわけでもありません。『法句経』のような偈を集めた経典では、短い教えが章ごとに並びます。「巻の中に品があり、その中に必ず長行と偈がある」という一つの形だけで、すべてのお経を読むことはできません。

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読書のメモなら、「経典名、品名、手元の本のページ」に、気になった一節の始まりを添えられます。薬草喩品の雨であれば、「其法一味」と残す方法があります。次に読む時、その短い句から偈を見つけ、前の長行へ、さらに品の冒頭へと戻れます。場所が分かることで、一度耳にした言葉の周りに、まだ読んでいなかった教えが見えてきます。

よくある質問

「巻第三」に「薬草喩品第五」があります。番号が間違っていますか?

巻と品は違う区切りなので、数字が一致しなくても不自然ではありません。CBETA所収の妙法蓮華経でも、巻第三に薬草喩品第五が置かれています。品の番号は、その巻の中で毎回一から数え直すものではありません。

偈は、必ず四句で一つですか?

四句で紹介される偈もありますが、すべてが同じ形ではありません。大智度論は、六句・三句・五句など、句の数が一定でない偈にも言及します。手元の訳本で用いられている区切りや番号に沿って確かめます。

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