入院中、宗教者に話を聞いてほしい時の頼み方
検査や治療の説明は聞いた。でも、これからどう生きるか、家族に何を残したいかを考えると、医療の話とは違う言葉が出てくる。入院中に宗教者と話したくなったら、病棟の看護師などへ、その希望を伝えるところから始められます。
院内の担当者を頼むことと、外から知り合いの僧侶に来てもらうことでは、相談する内容が違います。すべての病院に宗教者がいるわけではないので、自分が入院している場所の体制を確かめます。
病棟で尋ねる時は、役職名が分からなくても
「この病院で、宗教者と話す機会はありますか」「病気の説明とは別に、気がかりを聞いてもらいたいです」と伝えられます。僧侶に限って探したい場合は、その希望も添えます。臨床宗教師やチャプレンという名称を、正しく使い分けてから頼む必要はありません。
松山ベテル病院の案内は、専任のチャプレンを病院付牧師と説明しています。こころの支えや人生の問題について話すほか、聖書や祈りについても相談でき、病室への訪問を希望する場合は看護師へ尋ねるよう案内しています。院内の職員を通して頼める具体例です。
ただし、この連絡方法や担当者が、別の病院でも同じとは限りません。受付で分からなければ、病棟や患者相談の担当者に、院内で誰に確認できるかを聞けます。病院名と「チャプレン」「臨床宗教師」で案内を探す方法もありますが、以前の記事だけで今も来てもらえるとは決めません。
本人が話すことに疲れる時は、希望を短く書いて渡す方法もあります。代わりに家族が尋ねるなら、「本人が会いたいと言っています」と「家族の私が話したいです」を分けて伝えます。面談を頼んだ人と、話す本人が違うと、その後の予定も変わるためです。
宗教者であることと、教えを説く時間は同じではない
東北大学の医療系メディアによる二〇二五年の取材では、同大学病院の緩和ケア病棟で働く臨床宗教師、金田諦晃さんが紹介されています。金田さんは曹洞宗の僧侶でもあります。病院の宗教者という仕事が、牧師だけに限られないことが分かる実例です。
取材の中で金田さんは、宗教的な話をすればそれでよいのではないと述べています。本人の人生観がそれぞれ違う中での関わりを語っており、患者へ一つの答えを渡す役割として説明してはいません。宗教者に会う希望の中にも、教えを聞きたい時と、結論を出さずに話したい時があるでしょう。
「お経を聞きたい」「今は説教や励ましより、話を聞いてほしい」といった違いは、面談前に伝えられます。逆に、担当者が自分の望む宗派や方法に応じられるかも確認します。院内の面談と、家庭の葬儀や法事は別の依頼です。
祈りと、話した内容の扱いを確認する
日本臨床宗教師会の倫理綱領と倫理規約では、布教を目的としないこと、祈りや唱えごとは本人の希望や同意がある場合に限ることを定めています。また、秘密を守りつつ、活動先の情報共有のルールに従うことも求めています。これは臨床宗教師として活動する際の規範です。
記録の有無や、医療者・家族へ何を伝えるかは、面談の前に尋ねられます。家族に話していないことを打ち明けたい時も、先に確認しておけます。
一人で話したい時は、家族に席を外してもらえるかを相談します。大部屋では周囲にも聞こえるため、体調に無理のない場所や時間を病棟側と確認できます。
菩提寺の僧侶に来てほしい場合
いつものお寺の僧侶なら話せそうだと思うこともあります。その場合は、院内スタッフの面談を頼む話とは分けて、病院へ外部の人の面会条件を確認します。来院できる日時を僧侶と約束する前に、面会者として入れるか、病室でどのように過ごせるかを聞いておけます。
読経を希望する場合にも、音や時間、同室の人への配慮が関わります。希望する内容を具体的に伝え、実施できる範囲を相談します。お線香や仏具を持ち込むかも、病院側の確認が先です。
退院後も話したい時は、継続できる場を確認します。お寺のグリーフケアは死別を経験した人が対象となるなど、参加条件が異なります。自分に合う場を探す必要があります。
医療の相談も、続けてよい
宗教者に会う日を決めても、痛みや息苦しさ、眠れないといった困りごとは医療者へ伝えます。生き方について話す希望と、症状への対応を頼むことは両立します。宗教者との面談のために、治療や服薬を自分で中止する話ではありません。
すでに心理相談を受けている人は、相談の目的や進め方も担当者と確かめられます。今日聞いてほしい話と、医師へ確認したいことを、一人の相手がすべて引き受けなくてもよいのです。会ってみた後には、また話したいか、今回はここまでにしたいかも伝えられます。
よくある質問
仏教徒でも、病院のチャプレンへ相談してよいですか?
まず、その病院の案内で対象者と相談内容を確認できます。担当者の宗教と、相談する人に求められる条件は別です。仏教の教えについて聞きたいのか、宗教の話をせずに過ごしたいのかも、希望として伝えられます。
宗教者と話した内容は、医療者には伝わらないのでしょうか?
二人だけの秘密になるとは限りません。臨床宗教師には守秘と活動先での情報共有のルールがあります。記録や共有の扱いを、話す前に確認できます。