お寺のグリーフケアとは?法要と相談、分かち合いの違い
法事の相談ではなく、亡くなった人のことを誰かに聞いてほしい。けれど、集まりに行って詳しく話せるかは分からない。お寺の「グリーフケア」という案内を見つけても、どんな時間を過ごすのか想像しづらいことがあります。
死別の悲しみに関わる支えにも、いくつかの形があります。今ほしいのは、お経を聞く時間なのか、一対一の相談なのか、同じ経験をした人といる場所なのか。まだ決められなくても、案内を読む時の手がかりにはなります。
同じお寺でも、申し込む内容は違う
日蓮宗の上行寺船橋別院の案内には、法要や祥月命日のお経と並んで、死別を経験した人の「グリーフカフェ」が紹介されています。法事を営むことと、遺された人が思いを語る会に参加することは、別の入口として用意されています。
たとえば「来月の命日に読経をお願いしたい」という希望と、「命日の予定は決まったけれど、家に帰ってからの寂しさを話したい」という希望があります。両方あっても、一方だけでも、それをそのまま問い合わせにできます。
お寺への悩み相談を考える時と同じく、誰が話を聞くのかも確かめます。「お寺で開催」と書いてあるだけでは、僧侶との個別相談なのか、参加者同士の集まりなのかは分かりません。案内に書かれていなければ、「どのような進行ですか」と聞けます。
法要には、その寺院が受け継ぐ教えや勤行があります。参加者の気分を整えるためだけの催しと考えると、宗教的な意味を見失います。何のお勤めをするのか、法話はあるのかを知っておくことも、自分が求める場を選ぶ助けになります。
話さずに参加することと、見学は同じではない
真宗大谷派の存明寺「グリーフケアのつどい」は、勤行、法話、語る時間などを組み合わせた会を案内しています。ルールには発言を強要しないこと、聞いた内容を外へ漏らさないこと、悲しみを比べないことが記されています。一方で事前申込みが必要で、見学はできないとしています。
自分も死別を経験した参加者として聞く時間を持つことと、外部から活動を見学することは別の扱いです。迷う時は「私自身が大切な人を亡くしていますが、まだ話す自信がありません」と問い合わせられます。
誰かの話を聞いて、自分の経験と重なる部分があっても、すぐに解決策を返す必要はありません。自分に助けになった言葉が、隣の人にも同じように届くとは限らないからです。会の進行役がいるなら、話しにくさや戸惑いもその人に伝えられます。
心理職の相談を希望するなら、対象と回数も読む
築地本願寺のグリーフサポートは、臨床心理士などの心理職が相談に応じる予約制のサービスです。案内では倶楽部会員を対象とし、未入会の人は当日入会できるとしています。また、基本的には一人一回の相談と明記されています。お寺で受けられる相談にも、このように担当者と利用条件が定められた例があります。
一度話を聞いてもらいたい人と、継続して相談する相手を探している人では、確認する点が変わります。予約前に、相談の時間、費用、継続の可否、次の支援先についても尋ねられます。初回に行ってから、毎週通えると思っていた、という行き違いを減らすためです。
カウンセリングを続けるか考える時には、目的や方法を担当者と話し合うことが関わります。寺院の会に参加する場合も、すでに受けている医療や相談をやめる約束をする必要はありません。今使っている支えを残しながら、別の場を探せます。
食事や睡眠など生活に強い支障が出ている時は、その困りごとも医療者に伝えてください。法話を聞く予定があることと、体や暮らしの相談をすることは両立します。集まりの日まで我慢できるかどうかで、自分を試さなくてよいのです。
行く前と帰った後に、自分のための余白を
初めての会なら、申込みができる日、費用、会場への行き方を確認します。寺院の紹介ページには以前の開催日が残っていることもあるため、今回の募集案内や窓口で確かめます。宗派が違う、檀家ではない、付き添いを頼みたいといった点も、参加条件として尋ねられます。
話した内容の扱いについて気になるなら、録音や写真、名前の表示などを聞けます。「聞いたことを外に漏らさない」というルールがあることと、どの参加者も必ず守ると保証されることは同じではありません。個人や家族を特定する情報をどこまで話すかは、自分で選んでかまいません。
帰り道に気持ちが動いた時のために、その後の予定を詰め込みすぎないようにする方法もあります。付き添ってくれた人へ「何を話したかは今日は聞かないでほしい」「帰りに少し休みたい」と頼めます。詳しい報告をすることまで、参加の一部にしなくてよいでしょう。
参加してみて合わないと感じたら、次回も同じ形で通わなくてはならないわけではありません。大勢で話す場より一対一を選びたい、今はお勤めだけ聞きたい、という希望もありえます。申し込む前の一言は、「死別した人が参加できる会について、進め方を教えてください」。悲しみをうまく説明できるようになる前にも、尋ねられることはあります。
よくある質問
分かち合いの会では、死別について全部話す必要がありますか?
発言を強要しないと明記する会もあります。ただし、参加者として話さないことと外部からの見学は別です。希望する参加の仕方を、事前に主催者へ確認してください。
お寺のグリーフケアなら、僧侶が心理相談をしてくれるのですか?
担当者と内容は会によって違います。僧侶の法話、遺族同士の語り合い、臨床心理士などによる相談を区別して案内を読みましょう。お寺という会場だけでは、専門資格や継続相談の有無までは分かりません。