お会式の万灯は何を表す?日蓮聖人を偲ぶ秋の法要
秋の夜、桜のような紙の花で飾られた万灯が進む。お会式の写真からは、まず華やかな行列が目に入ります。その灯りが、誰に、何を捧げているのかを知ると、見える風景も変わります。
お会式(おえしき)は、日蓮聖人の命日に、その生涯と教えをしのび、恩に報いる法要です。日蓮聖人の入滅の日である10月13日を中心に、各地の寺院で勤められます。万灯の行列も、その報恩を表す行事の一つです。
お会式と呼ばれる、宗祖への報恩
「会式」は、もともと各宗の宗祖の命日に行う法要を指した言葉です。池上本門寺の公式解説は、同寺の行事が盛大に行われたことなどから、「お会式」が日蓮聖人の命日に関わる言葉として広まったと説明しています。
日蓮の教えでは、法華経とお題目が大切にされます。お会式も、日蓮の名を知るだけでなく、どのような教えを伝えた人だったかを聞く機会になります。日蓮と法華経の関係を少し知っておくと、法話や案内に出てくる言葉も追いやすくなります。
「御報恩」という字が付くのは、教えを伝えた恩に報いる法要だからです。行列の華やかさと、本堂でのお題目や法話は、同じ行事の中にあります。
なぜ秋の万灯に、桜が咲いているのか
池上本門寺の説明では、日蓮の入滅に際して、庭の桜が時ならぬ花を咲かせたという故事が、万灯の花飾りにつながっています。紙で作った花でその桜を表し、灯明をともす宝塔を飾ります。
季節外れの桜は、宗教の伝承として語られてきたものです。その伝承を紙の花と灯りで受け継ぎ、日蓮への報恩を表します。
遠くからは花のかたまりに見えても、近づくと塔の形や、花の枝ぶりに気づきます。周囲の通行を妨げない場所で、花と灯り、塔の形がどう組み合わされているかを見ると、万灯が単なる照明ではないことが伝わります。
万灯を支える人々の準備もあります。東京の要傳寺の万灯造りの案内には、会式桜を作る日と、万灯に飾り付ける日が別に設けられています。完成した一夜の姿の前に、花を作り、形を整える時間があるのです。
お逮夜と命日の法要は、別の時間
「お逮夜(おたいや)」は、命日の前夜に関わる法要です。池上本門寺では、10月12日がお逮夜にあたり、万灯練供養が行われます。そして13日には、日蓮の入滅の時をしのぶ臨滅度時法要が勤められます。
行列がにぎわう夜と、命日の法要が同じ日だと思っていると、見たいもの、参拝したいものを取り違えることがあります。寺院の案内で、「万灯練供養」「御逮夜法要」「臨滅度時法要」のどれを見ているかを分けると、予定を立てやすくなります。
池上本門寺の2026年の公式案内では、お会式の期間は10月11日から13日です。実際の時刻や参拝方法は変更される場合があるため、出かける際には、公式ページの当年の法要・法話案内を読みます。
池上本門寺の規模が、全国共通ではない
お会式は各地の日蓮宗寺院でも行われます。たとえば要傳寺の2026年の宗祖報恩会式法要は、10月8日の開催です。記念する命日と、寺院が法要を勤める日とは分けて考えます。
また、大きな万灯行列がある寺院もあれば、本堂の法要を中心に勤める寺院もあります。大規模な行事の写真だけを基準にせず、その寺院の案内に、法要、法話、奉詠、万灯など何が記されているかを見ることです。
仏教の年中行事の中でお会式の時期を知ったら、近くの寺院の予定も調べられます。教えを聞くことが目的なら、法話の時間が明示された会が、参拝先を選ぶ手がかりになります。
行列を見る日には、帰り道も考えておく
目的に合わせて読む案内
| したいこと | 主に見るところ |
|---|---|
| 万灯の行列を見たい | 練供養の時間、経路、交通規制 |
| 堂内の法要にお参りしたい | 法要名、開始時刻、一般参拝の案内 |
| 法話を聞きたい | 説法・法話の時間と会場 |
| 花作りなどを手伝いたい | 寺院や講中の募集対象、事前連絡の方法 |
池上本門寺の公式ページには、交通規制や参拝時のお願いも載っています。夜の行列では、会場に着く方法だけでなく、帰る方向、同行者と離れたときの待ち合わせ場所を考えておくと動きやすくなります。
行列を撮るために進路へ入ったり、列に自己判断で加わったりせず、沿道や境内の誘導に従います。子どもと出かける場合や、長く立つことが難しい場合は、にぎわいのピークだけを目指さず、参加できる時間帯を選ぶ余地があります。
灯りを見たあと、教えを聞く時間へ
万灯を見て関心が湧いたら、次は本堂の法話や、地域の寺院のおつとめへ足を運ぶ方法があります。日蓮宗の朝のおつとめなら、秋の行事とは違う、日々の信仰の場に触れられます。
お会式の案内にある一つの言葉、たとえば「報恩」や「お題目」を覚えて帰るだけでも、次に調べる手がかりになります。花で飾られた灯りの先に、どのような教えが受け継がれているのか。その問いを持って参拝すると、秋の一夜が、その後の学びにつながります。
よくある質問
お会式は何のための行事ですか?
日蓮聖人の命日に、その生涯と教えをしのび、恩に報いる法要として勤められます。10月13日を中心に行われますが、寺院によって開催日は異なります。
お会式の万灯に、桜の飾りがあるのはなぜですか?
日蓮聖人の入滅に際して、庭の桜が季節外れに咲いたという伝承に由来します。池上本門寺の解説では、その桜を紙の花で表し、灯明をともす宝塔を飾ると説明されています。
お会式は、必ず夜の行列に参加するものですか?
万灯行列を見ることと、堂内の法要に参拝することでは参加の形が違います。法話を聞く機会や地域寺院の法要もあります。行列へ加わる場合は、その講中や寺院の案内に従います。