御開帳で拝むのはどの仏さま?秘仏と前立本尊の違い
「秘仏を拝める御開帳」と聞くと、その寺で一番奥にまつられている本尊が姿を現すと思うかもしれません。ところが、善光寺の案内には「前立本尊御開帳」と書かれています。
この「前立」の二文字を読むと、何をお参りする行事なのかが、もう少し具体的に分かります。公開される像と、それを迎える法要、参拝できる日を順に見ていきます。
秘仏は、普段その姿を見せない仏像
秘仏とは、通常はその姿を公開しない仏像などを指す言葉です。特定の機会に拝めるものもあれば、善光寺の本尊のように、絶対秘仏として公開されないものもあります。
善光寺の本尊案内によると、御本尊は一光三尊阿弥陀如来で、本堂の最奥に安置されています。阿弥陀如来を中央に、観音菩薩と勢至菩薩が一つの光背の中に立つ姿です。ただし、参拝者がこの御本尊の像を直接拝観することはできません。
秘仏としてまつることと、そのお寺でお参りできることは両立しています。本堂へ進み、仏前で手を合わせる営みは、御開帳のある時期にも、ない時期にも続いています。
善光寺でお迎えするのは、前立本尊
善光寺の御開帳では、御本尊のお身代わりとしての前立本尊を、本堂へお迎えします。天台宗の御開帳報告も、絶対秘仏の本尊に代わる前立本尊があり、その前立本尊自体も普段は秘仏であると説明しています。
「前立なら毎日見られる」とは限らないのです。御開帳は、この前立本尊の厨子が開かれ、姿を拝む機会になります。厨子とは、仏像などを納める、扉のある入れ物です。
同じ阿弥陀如来の名前が案内に出ていても、どの像について書かれているかを、前後の言葉から読みます。御本尊、前立本尊、御宝庫、本堂という語を分けるだけで、御遷座式の案内も理解しやすくなります。御遷座は、尊像を別の場所へお遷しすることです。
回向柱に触れるのは、如来との結縁
善光寺の御開帳では、本堂前に回向柱が立てられます。前立本尊の御手と綱で結ばれ、この柱に触れることで、如来との縁を結ぶとされています。天台宗の報告にも、前立本尊の移動と回向柱を迎える法要が記されています。
このように、御開帳には像の公開だけでなく、それをお迎えする儀礼と、人々がお参りする営みがあります。案内に法要の名前が並ぶのは、拝観時間とは別に、こうした節目があるためです。
お戒壇巡りは、本尊の下の暗い通路を進むお参りです。回向柱に触れることとは、場所も動きも異なります。二つとも希望する場合は、それぞれの入口や受け付けを見て予定を組みます。
公開の習慣が変わることもある
京都の善峯寺には、過去に観音堂の本尊を毎月第二日曜や正月三が日に開扉する習慣がありました。しかし、現在の公式行事案内は、その開扉を2021年12月で終了したと明記しています。
同寺は、2022年から本尊を再び秘仏として奉安し、開山一千年に当たる2028年の開扉を予定しています。期日は未定とされています。以前に訪ねた人の記録が正しくても、そのまま今の参拝予定には使えない例です。
ここで見るべきなのは、記事が新しく表示されているかだけでなく、本文がどの年の案内かという点です。過去の開催日を紹介するページと、これからの開扉日を告知するページを読み分けます。
開催期間と、一日の参拝時間を分ける
善光寺は2026年5月1日の告知で、次回の前立本尊御開帳について、2027年4月4日に開闢大法要、6月19日に結願大法要を行う予定を示しています。初めの法要と、結びの法要の日を読むことで、会期の区切りが分かります。
実際に出かける日が決まったら、会期に加えて、その日の受付時間を調べます。御開帳の期間中でも、法要への参列、内陣の拝観、御朱印などの窓口が、すべて同じ時間に動くとは限りません。
同行者と予定を組むなら、先に拝みたい場所を決め、その後でほかの拝観を足せます。長い行列がある場合も考え、帰りの交通ぎりぎりまで予定を入れず、参拝そのものの時間を残します。
写真を残したい場合は、像の公開と撮影の許可を別に見ます。撮影できる区域が設けられていても、堂内全体や尊像も自由に撮れるとは限りません。現地の表示で分かりにくければ、カメラを向ける前に担当者へ尋ねられます。
仏さまの名前を知ってから、本堂へ
初めてのお寺なら、本尊の名前を一つ覚えてから出かけると、案内板の文章がつながります。観音菩薩のお寺でも、境内に阿弥陀如来や弁才天をまつるお堂があることがあります。それぞれのお堂で誰に向かってお参りするのか、名前を読みながら進めます。
御朱印をいただく場合も、御開帳でどの本尊を拝んだのかが分かると、残した文字を後で読み返せます。特別な時期の参拝を、日付だけでなく、お寺が大切にしている仏さまと出会う機会として受け止められます。
よくある質問
御開帳では本尊そのものを見られますか?
寺院によります。善光寺では本尊は絶対秘仏であり、御開帳で拝むのは前立本尊です。案内に記された仏像の名前を見て、どの像が公開されるのかを確かめます。
前立本尊は普段から見られますか?
いつも公開されているとは限りません。善光寺の前立本尊も普段は秘仏で、御開帳の際に本堂へ迎えられます。公開の時期と場所は、その寺院の案内に従います。
御開帳はどのお寺も七年に一度ですか?
周期は寺院によって異なり、従来の公開方法が変更されることもあります。善峯寺は毎月第二日曜などの開扉を2021年末で終了し、次は2028年の開扉を予定していますが、期日は未定としています。