十三仏とは?法事の掛け軸に並ぶ仏さまの見方
法事の前に押し入れから出した掛け軸。観音さまらしい姿もあれば、剣を持った厳しい顔の仏さまもいます。仏壇のご本尊とは違う、大勢の並んだ絵を見て「これは誰だろう」と思ったら、十三仏の可能性があります。
十三仏(じゅうさんぶつ)は、初七日から三十三回忌までの供養の節目に、本尊として配される十三尊の総称です。掛け軸や石塔、霊場などで出会いますが、その十三尊には如来、菩薩、明王が含まれています。
十三仏と忌日の対応を見てみる
新纂浄土宗大辞典の「十三仏」には、次の対応が示されています。これは十三仏信仰の配当を知るための一覧です。各家庭の法事を、すべてこの回数で行うという予定表ではありません。
十三仏の名前と供養の節目
| 節目 | 尊名 |
|---|---|
| 初七日 | 不動明王 |
| 二七日 | 釈迦如来 |
| 三七日 | 文殊菩薩 |
| 四七日 | 普賢菩薩 |
| 五七日 | 地蔵菩薩 |
| 六七日 | 弥勒菩薩 |
| 七七日(四十九日) | 薬師如来 |
| 百箇日 | 観音菩薩 |
| 一周忌 | 勢至菩薩 |
| 三回忌 | 阿弥陀如来 |
| 七回忌 | 阿閦如来 |
| 十三回忌 | 大日如来 |
| 三十三回忌 | 虚空蔵菩薩 |
一周忌と三回忌が続くところでは、数え方にも気を付けます。一周忌は亡くなって満一年、三回忌は満二年の節目です。二七日、三七日は、七日ごとの区切りを表します。実際に集まる日を決める時には、この配当とは別に、お寺や家族と日程を相談します。
厳しい顔の不動明王も、十三仏に入る
「仏」という字から、同じ姿の如来が十三体あると思うと、絵の見方が少し難しくなります。不動明王は怒りの表情で描かれる明王です。文殊菩薩、普賢菩薩、地蔵菩薩などは菩薩。釈迦如来や薬師如来は如来として、その中に並びます。
まずは、一尊だけ名前と姿を結び付けてみます。剣や炎、持ち物、座っているものが手がかりになりますが、傷みや省略のある絵では判別しにくいこともあります。数えただけで名前を決めず、軸箱の題や、お寺の説明と照らし合わせられます。弥勒菩薩のように、一尊について知ってから絵に戻ると、名前の列にも親しみが生まれます。
掛け軸の並び方は、どれも同じ?
一つの絵の位置関係を覚えても、別の十三仏図では並びが違う場合があります。文化遺産オンラインに紹介される小浜市・極楽寺の十三仏図は、上部の虚空蔵菩薩の下に、三尊ずつ四段で配した作品です。周囲には雲があり、下には波が描かれています。
この作品の説明を頼りに見ると、「十三尊がそろう」という共通点と、「どこに誰を置くか」という絵ごとの構成を分けて考えられます。中央にいるから、一覧でも最初の尊に違いない、と決めなくてよくなります。
家の掛け軸を見る時も、全体の配置を眺める時間があってよさそうです。法事の支度をしながら全部を調べるのが難しければ、読めなかった一つの名前を、後でお寺に尋ねるだけでも次につながります。
十王信仰から、日本で形を整えた
十三仏の背景には、死後の審判を行う十王への信仰があります。日本では、その王たちの本地、つまりもとの姿を仏に結び付ける考えが広がりました。さらに七回忌、十三回忌、三十三回忌に対応する尊が加わり、十三仏のまとまりが成立していきます。
宮坂宥洪の「十三仏信仰の意義」(『現代密教』23、2012年、187頁から217頁)では、各尊は経典に登場する存在でありながら、十三尊の配列と死者供養との組み合わせは日本で成立したことが論じられています。中国で説かれた十王、その本地仏、日本の年忌の広がりには、歴史の段階があります。
そのため、十三仏の表を「仏教では誰もが死後この順に審判される」と説明すると、宗派による死生観も、成立の過程も見えなくなります。掛け軸は、ある供養の伝統を目に見える形で伝えているものとして受けとめられます。
配当する日があることと、その仏の働きがその日だけに限られることも、分けて考えられます。表の六七日に弥勒菩薩の名があっても、それだけを根拠に、故人がその日に弥勒菩薩になると読むことはできません。一覧は、供養の節目と本尊の関係を示しています。仏の名前を、故人の状態を判定する欄に置き換えないことが、絵を落ち着いて見る助けになります。
家の法事に用意するか迷ったら
売り場で十三仏の掛け軸を見つけても、それだけで購入を急ぐことはありません。家に伝わるものがあるなら、どの法事で掛けていたか、誰が用意したものかを家族に聞けます。次に、法事をお願いするお寺へ「この軸は今回も掛けますか」と、具体的に確かめます。
法事の意味を考える時、道具の支度と、故人を縁に仏の教えに出会う時間の両方があります。掛け軸について知ることも、その出会いの一つになります。傷んでいて掛けられない時には、その事情を伝えれば、当日の支度を相談できます。
押し入れから出した一幅に、すぐ答えの出ない名前が残っていても構いません。「この地蔵さまは、五七日のところにいるんだね」。そんな会話が一つ生まれると、家にあった絵を、少し違う目で見られます。
よくある質問
十三仏は、十三人の如来という意味ですか?
十三仏には如来だけでなく、文殊や地蔵などの菩薩、不動明王も含まれます。初七日から三十三回忌までの供養の節目に結び付けられた十三尊の総称です。
十三仏と十王は同じものですか?
十王は死後の審判を行う王として説かれ、十三仏は供養の本尊とされる仏・菩薩・明王です。十王とその本地仏を結び付ける信仰が、十三仏の成立に関わりました。図像や呼び名をそのまま置き換えることはできません。
法事には十三仏の掛け軸が必要ですか?
全宗派に共通する必需品ではありません。宗派や地域、寺院の勤め方によります。家にある掛け軸の扱いや、新しく用意するかどうかは、法事をお願いするお寺に確かめられます。