八斎戒とは?五戒との違いと、一昼夜の過ごし方

お寺や仏教団体の案内に「八斎戒」「八戒」とあっても、食事をどうするのか、仕事のある日でも受けられるのか、初めてでは想像しづらいかもしれません。

八斎戒(はっさいかい)は、在家の人が一昼夜、八つの戒を受け持ち、出家の生活にならって過ごす実践です。期間を区切って、行い、食事、楽しみ方、休み方までを整えるところに特徴があります。

一昼夜、阿羅漢の生き方にならう

初期経典の増支部8.41は、阿羅漢が生涯にわたって離れている行いを、自分もこの一日一夜、離れて過ごすという形で、八つの項目を説きます。阿羅漢は、修行を完成し、煩悩を離れた人を指します。

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たとえば命を奪わず、武器を置き、生きものをいたわること。与えられていないものを取らず、与えられたものを受け取ること。単に行動を減らすだけでなく、どのようなあり方に学ぶかが、それぞれの戒に伴っています。

一昼夜を終えれば阿羅漢と同じ悟りに達する、という説明ではありません。経典は、このように戒を保つ日の大きな実りを説いています。時間を定め、教えに沿う生活を自ら引き受けることに意味があります。

五戒から変わる、第三の戒

五戒は、殺生、盗み、邪な性行為、嘘、酒などの酩酊をもたらすものを離れる、在家の基本的な戒です。八斎戒では、このうち性に関する戒が、不邪淫から不淫(ふいん)になります。

受け持つ間は、相手との婚姻関係や合意の有無にかかわらず、性行為を離れます。夫婦の生活の中で実践するなら、その期間を相手にも伝え、理解を得ておくとよいでしょう。日頃の関係を否定する話と、修行のために期間を区切る話を、落ち着いて分けられます。

酒についても、酔いつぶれない程度ならよいと読み替えるのではなく、飲酒を離れる戒として受けとめます。食事会や会合の予定がある場合は、受ける日を決める段階で見通しておけます。

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八つを、生活のどこで守るか

浄土宗大辞典の「八斎戒」は、次の八項目を挙げています。名称は少し難しくても、どの時間帯の行いに関わるかを考えると具体的になります。

戒条と生活上の内容の一覧

戒条受け持つ内容
不殺生生きものの命を故意に奪わない
不偸盗与えられていないものを取らない
不淫性行為を離れる
不妄語嘘をつかない
不飲酒酒などの酩酊をもたらすものを避ける
装飾・歌舞などを離れる香や飾りで身を飾ること、歌舞や演奏などの娯楽を避ける
高広の床を離れる高く広い、贅沢な寝床を避ける
非時食を離れる定められた時以外の食事を避ける

増支部8.41では、非時食が六番目、娯楽と装飾が七番目、寝床が八番目に置かれます。番号の違いだけで内容が別物だと考えず、手元の経本や案内にある八項目を照らし合わせられます。

非時食は、正午を区切りに考える

「斎」の字から、一日中何も食べないものと思う人もいるでしょう。八斎戒の非時食は、一般に正午以降の食事を避けることとして説明されます。一昼夜の完全な絶食を求める戒ではありません。

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参加する会では、朝食や昼食がいつ出るのか、到着前に食事を済ませるのか、飲み物はどう扱うのかを具体的に尋ねられます。献立だけを見ても時刻は分からず、開始時刻だけでは最初の食事が分からないこともあります。募集案内と一日の予定表をあわせて読むと、準備しやすくなります。

食事や服薬の都合がある場合は、その事情を事前に伝えます。医療上必要な食事や薬を、記事を読んだだけで変えず、受ける場で可能な参加方法を相談します。戒の意味を学ぶことと、自分がその日にどの形で参加できるかを確かめることを、一緒に進められます。

娯楽を休む時間を、何に向けるか

八斎戒では、歌舞、演奏、見世物などの娯楽や、身を飾ることも離れます。現代の生活に当てはめるなら、暇な時間を埋めるための動画や音楽、買い物の予定をどうするかが、事前に考えられる点です。仕事上の連絡と娯楽の視聴も分け、会の案内に沿って端末の使い方を決められます。

空いた時間には、読経、教えを聞くこと、坐ること、静かに自分の行いを振り返ることなどを置けます。どの実践を行うかは、その場の指導によります。瞑想の言葉を予習したければ、四念処の基本も一つの入口になります。

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受ける前と、終わった後にできること

申し込む前には、開始と終了の時刻、食事、寝具、持ち物、初めての人への説明を確かめます。八斎戒の「一日」を日中の数時間だけと考えると、夜の過ごし方が抜けます。一昼夜のどこからどこまで受け持つのかを知ってから予定を組めます。寝床についても、自分で極端に寝にくい場所を作るより、会場で用意されるものと、自分の身体に必要な条件を伝えます。

終わった後には、嘘を避けるときに迷った場面や、手持ち無沙汰になるとすぐ端末を開きたくなったことなど、実際に気づいた点を振り返れます。疑問が残れば、指導した人へ尋ねる材料にもなります。

生前に仏道を学び、行うことには、日々のお参りから、期間を定めた実践まで、いくつもの入口があります。八斎戒はその一つです。受けた日の数を増やすことだけを急がず、戒の内容を知り、生活の予定を整え、一昼夜を丁寧に過ごすところから始められます。

よくある質問

八斎戒と五戒は、何が違いますか?

五戒を土台に、性行為を離れる不淫、非時食を避けること、娯楽や装飾、贅沢な寝床を離れることなどを含め、一昼夜の生活を整えます。戒条の並べ方は資料により違います。

八斎戒では、一日中何も食べられませんか?

非時食を避ける戒であり、一昼夜の完全な絶食を意味しません。一般に正午以降の食事を避けると説明されます。実際の時刻や飲食の扱いは、受ける場の指導を確かめます。

八斎戒を受けたら、そのまま出家するのですか?

八斎戒は在家の人が一昼夜受け持つ実践として説かれ、出家や僧侶の資格を得ることとは異なります。日々の暮らしの中に、戒を守り教えを学ぶ時間を設けるものです。

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