災害ボランティアに行く前に。助けたい気持ちと現地の必要

被災した町の映像を見て、休みを取って手伝いに行こうと思う。遠くから見ているだけでは落ち着かず、早く現地へ向かいたくなることがあります。

その気持ちを行動にするには、受け入れる人の時間や場所も必要です。自分が行ける日と、現地で人手が必要な日が重なるとは限りません。出発前に確かめる時間も、支援を形にする一部として持てます。

募集の案内を読んでから、予定を組む

全国社会福祉協議会のボランティア向け案内は、現地の最新情報を事前に確かめるよう呼びかけています。受け入れ人数が制限される場合もあります。過去の投稿や知人の体験だけで決めず、参加したい地域の現在の募集を読みます。

広告

募集を見つけたら、対象となる参加者、申込み、活動日、集合場所を確かめます。分からないことがある時も、まず掲載された説明を読んでから問い合わせれば、同じ質問を繰り返す負担を減らせます。「人手は必要だろう」という推測だけで、自分の到着を前提にしないことです。

持ち物より先に、自分が引き受ける範囲を書く

何を持って行くかを考える時には、活動内容と自分の条件を並べてみます。いつ出発し、いつ帰るのか。移動、食事、宿泊をどうするのか。家族の世話や仕事を誰かに頼むなら、その人と話せているか。参加費以外にも必要な費用を書き出すと、実際に組める予定が見えてきます。

服装や装備は作業に応じて確認します。また、全社協はボランティア活動保険への加入を案内しています。出発地の社会福祉協議会などへ事前に相談し、対象となる活動や補償を確かめます。加入したというだけで、あらゆる事故への備えが整うわけではありません。

「何でもできます」と伝えると、できないことが後から分かった時に調整が必要になります。「この時間まで参加できます」「この作業は経験がありません」と、分かっている範囲を伝えられます。資格や経験が求められる仕事を、熱意で補えるものとして引き受けないことも大切です。

広告

現地で頼まれたことが難しければ、担当者に相談して役割を変える余地を探します。一人で無理を重ねてから突然動けなくなるより、早めに事情を共有するほうが、周囲も次の手を考えられます。自分の限界を伝えることは、共同で動くための情報になります。

利行は、相手にとっての利益へ目を向ける

『瑜伽師地論』第四十三巻の利行を説く箇所では、菩薩が愛語によって道理を示し、相手に応じた行いへ導くことが語られます。その根底にあるのは悲心です。さらに、現世の利益だけでなく、後世の安楽や解脱までを見通した教えとして展開されます。

利行は、したい親切を何でも実行すればよい、という言葉ではありません。論書は、相手に適したこと、ふさわしい時、真実にかなうことを重んじます。災害支援という現代の場面で受け止めるなら、目の前の人にとって何が助けになるのかを、こちらの満足とは別に確かめる姿勢につながります。

たとえば、家の中の物を片づける際、自分には不要に見える品でも、住む人には残したい物かもしれません。「早くきれいにする」を唯一の目標にせず、扱ってよい範囲や判断の仕方を担当者と確認できます。善意があっても、相手の暮らしの持ち主にはなれません。

広告

頼まれた仕事が地味だったり、待つ時間が長かったりすると、役に立てていない気がすることもあるでしょう。その時に勝手な作業を増やす前に、自分の担当を尋ねられます。手を動かした量だけで一日を採点しないことも、相手に合わせて働くための工夫です。

写真を撮る前に、そこが誰の生活かを考える

活動の様子を伝えたい時にも、被災した人の顔、家の中、住所の分かる物が写っていないかを見ます。写真を撮ってよいかと、ネットへ公開してよいかは、別に話す必要があります。活動先のルールも確かめ、迷う写真は共有を止めておけます。

受け入れてくれた人に、体験談や感謝の言葉を求めないことも心に留められます。その人は、自分の喪失や困りごとを、来る人ごとに話したいとは限りません。話してくれたことを聞く場合にも、外へ伝えてよい内容まで一緒に渡されたとは考えずに扱います。

帰宅後の投稿では、自分がしたことと、人から聞いたことを分けて書けます。募集について知らせるなら、日付のある公式案内へつなぎます。間違いに気づいた場合は、シェアした情報の訂正も、自分が届けた相手へ知らせるところから始められます。

広告

行かない日にも、支え方を選べる

全社協は募金も支援の一つと案内しています。送る先と使途を確かめ、自分の暮らしの中で出せる額を考えます。物資については、現地で必要とされ、届けられる場合に送るという案内を確認してから選びます。

今は費用も時間も出せないなら、状況が変わった時に再び募集を読めます。他の人の参加日数と比べ続けなくてもよいのです。無財の七施に触れながら、身近な人への接し方も見直せます。ただし、身近な親切をしたことで、現地の具体的な必要が満たされたと考える必要はありません。

行くと決めた人にも、今回は見送る人にも、判断し直す機会はあります。自分の都合と受け入れ側の状況を読み合わせ、引き受けたことを確かに行う。その積み重ねの中で、助けたいという願いを相手の暮らしへつないでいけます。

よくある質問

募集を確認せず、とりあえず被災地へ行ってもよいですか?

現地の災害ボランティアセンターなどの最新の募集を確認してから予定を組みます。受け入れの条件は、その時の案内に沿って確かめます。

現地へ行けない時には、どんな支援がありますか?

募金も支援の一つです。行けないことを無関心と結びつけず、今の暮らしで担える範囲を考えます。物資を送る場合は、受け入れの案内を確認します。

記事をシェアして、功徳を積みましょう