仏壇の本尊と位牌:役割の違いと宗派に沿った祀り方

仏壇の中央にある仏像や掛軸と、家族の名を記した位牌。同じ場所にあっても、それぞれが表しているものは違います。本尊は礼拝のよりどころとなる仏などを表し、位牌は故人を記して供養するために用いられます。位牌を用いず、過去帳などを使う宗派もあります。

仏壇を引き継いだときは、どこへ何を置くかの前に、家で大切にしてきたものの役割を知ると、判断しやすくなります。

本尊に向かうことと、故人を思うこと

仏壇には、亡き人を偲ぶ場所という身近な意味があります。同時に、仏教の教えに触れ、礼拝する場でもあります。たとえば曹洞宗の仏壇の案内は、本尊の釈迦牟尼仏を中心に祀り、家庭で信仰を実践するよりどころと説明しています。

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本尊を中央に祀ることは、家族の中で誰を上位に置くかという話ではありません。何をよりどころとしてお参りするのかを、仏壇の形に表しています。祖父母のことを思い出して手を合わせる時間にも、目の前の本尊の意味を知る余地があります。

遺影と本尊を同じものとして扱わず、それぞれの場所を設けると、仏壇の前に何を置くかも整理しやすくなります。

宗派の公式案内に見る本尊の例

宗派家庭の本尊の例案内される形
浄土宗阿弥陀如来家の本尊や祀り方を寺院と確かめる
浄土真宗本願寺派阿弥陀如来絵像や六字名号など
真宗大谷派阿弥陀如来宗派の案内に沿った御本尊
曹洞宗釈迦牟尼仏仏像、または一仏両祖の絵像など

浄土宗の教えの案内は阿弥陀如来を本尊としています。同じ阿弥陀如来を祀る場合でも、浄土宗と浄土真宗を同じ宗派として扱うことはできません。脇に掛けるものや、用いる仏具、勤行の形も合わせて確かめます。

本願寺派の仏壇に関する公式FAQでは、阿弥陀仏の絵像や「南無阿弥陀仏」の六字名号を示しています。文字で表した名号も本尊であり、立体の仏像がないことだけで「本尊がない」とは言えません。

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表は一部の宗派の例です。仏像の姿だけで宗派を断定せず、家の勤行本の表紙や奥付、これまで法事を頼んでいた寺院を手がかりにすると、思い違いを減らせます。

位牌を置かない仏壇もある

曹洞宗の標準的な案内では、本尊の左右に位牌を祀ります。古い位牌を向かって右、新しい位牌を左とする説明もあります。ただし、これをすべての仏壇の配置図として使うことはできません。

本願寺派の築地本願寺の仏事相談では、一般に位牌を用いず、過去帳を使うと案内しています。真宗大谷派も、お内仏に位牌を置かない作法です。仏壇の中に位牌がないから、家族を偲ぶものが欠けているとは限りません。

過去帳には故人の名などを記し、命日や家族の歩みをたどることができます。仏壇を整理するとき、法名や戒名の記録をただの古い紙として扱わず、家族で内容を確かめておくと安心です。すでに位牌を祀ってきた家庭でも、宗派の違いに気づいたその日に処分を決める必要はありません。

本尊を迎える法要の呼び名も違う

新しい本尊を迎えるとき、「魂入れを頼めばよい」と聞くことがあります。法要の名称や受け止め方は、宗派に沿って確認したいところです。

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本願寺派では入仏法要(にゅうぶつほうよう)と呼び、本尊を迎えたことを喜び、仏の徳を讃えます。僧侶が本尊へ魂を入れるという意味ではありません。真宗大谷派のお内仏の案内では、本尊を新たに安置したり移したりする際の法要を御移徙(ごいし・おわたまし)と呼び、ここでも魂を入れるとは説明していません。

「開眼供養」という名称を使う寺院もあります。家の宗派が用いる言葉と内容を確かめてから、法要の日程や準備を相談すると話が通じやすくなります。置くものを買ってから寸法が合わないと気づくこともあるため、迎え方と安置場所は一緒に考えておけます。

引き継いだ仏壇は、今の姿を確かめるところから

本尊が見当たらない場合は、掛軸に書かれた名号や、箱に納められたものがないか、家族のわかる範囲で確かめます。写真を撮って寺院に見せるなら、仏壇全体と、わからないものを分けて写しておくと相談しやすくなります。無理に古い掛軸を開いたり、壊れそうな仏具を動かしたりすることはありません。

確認したいのは、今あるものをどのように祀るか、新たに本尊を迎える必要があるか、今の住まいに置ける形は何か、という点です。大きな仏壇を買い直すことだけが選択肢ではなく、大谷派では狭い場所にも安置できる三折や額装の御本尊も案内されています。家族が使ってきた仏具と、新しく用意するものを分けて考えられます。

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写真の扱いも同じです。大谷派はお内仏の中に写真を飾らないとしていますが、故人の写真を家から遠ざけるという話ではありません。仏壇の外に写真を置く場所を設ければ、本尊を覆わず、いつもの顔も身近に置いておけます。

形を知ったら、日々のお参りへ

仏壇の配置だけから、故人が今どこにいるか、成仏できたかを判断することはできません。宗派の作法を学ぶときも、配置を間違えたら亡き人が苦しむ、といった不安を背負う必要はありません。

手元にある本尊と仏具の役割がわかったら、家庭のおつとめを少しずつ覚えていけます。おりんを鳴らす場面のように、見慣れた道具にも、教わって初めてわかる使い方があります。

仏壇の前で思い出す人がいる。その人を偲びながら、自分はどのような教えに向かって手を合わせているのかも知っていく。引き継いだ仏壇との付き合い方は、そこから続いていきます。

よくある質問

位牌だけで、本尊がない仏壇はどうすればよいですか?

引き継いだ仏壇を急に片づけず、家の宗派と現在ある掛軸・仏像を確かめます。本尊を新たに迎える場合は、寸法や安置の形、法要について菩提寺などに相談できます。本尊が見当たらないことから故人の状態を判断することはできません。

浄土真宗でも位牌を置きますか?

本願寺派や真宗大谷派では、位牌を用いない作法が案内されています。本願寺派の築地本願寺は過去帳の使用を勧めています。すでに位牌がある家庭では、家族で由来を確かめ、寺院に今後の扱いを相談できます。

故人の写真は仏壇のどこに置けばよいですか?

写真の扱いには宗派による違いがあります。真宗大谷派は、お内仏の中に写真を飾らないと案内しています。故人の写真を身近に置きたい場合は、仏壇の外に別の場所を設ければ、本尊の前を覆わずに飾れます。

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