フリーランスの報酬が未払い。請求をためらう時の整理

頼まれた原稿やデザインを納品し、請求書も送った。それなのに、支払予定日を過ぎても入金がない。「確認中です」という返信の後、連絡が止まっている。もう一度尋ねたら、次の依頼がなくなるのではないかと考えてしまう。

報酬の確認は、仕事を引き受けた後にも続く実務です。相手との関係を大切にする気持ちがあるからこそ、何について、どの段階の回答を求めるのかを整理できます。怒りを消し切ってからでなくても、確かめる文は書けます。

納品した仕事と、未払いの範囲を並べる

まず、依頼した相手、仕事内容、合意した報酬、納品日、支払予定日を一つの案件としてまとめます。複数の依頼があるなら、支払われた分と未払いの分を分けます。「ずっと払ってくれない」という感覚から、どの案件のいくらを確認するかへ移るためです。

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契約書や発注書のほか、見積りへの返信、メール、メッセージ、納品した時の記録を探します。口頭で決めた部分があれば、いつ、誰と、どんな話をしたかを、思い出せる範囲で書きます。資料が欠けていることも、相談時に説明する情報になります。

納品後に修正を頼まれていた場合は、当初の依頼と追加の依頼を分けておきます。自分が終えたと考えている仕事と、相手が未完了だと言っている部分が違うこともあります。相手の説明を記録することは、その説明に同意することとは別です。

未払い残業の問題とは、契約関係も確認先も異なります。公正取引委員会のフリーランス法の説明資料は、業務委託の相手や取引内容、従業員の有無などによって適用関係や義務が異なることを説明しています。仕事の呼び名だけで結論を出さず、自分の取引を示して確かめます。

生活を支える財を守ることと、慳貪

『雑阿含経』第三巻の第九一経で、若い婆羅門は、在家の人が今の生活で安らかに暮らすための教えを尋ねます。釈迦は、仕事に励むこと、得た財を守ること、善い友を持つこと、収入と支出を量ることを説きます。

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財を守るという箇所では、自分の手で働き、道理にかなって得た金銭や穀物を、失わないようにすることが語られます。同じ経の後半には、後世の安楽へ向けた信、戒、施、慧があり、施では慳貪の汚れを離れることが説かれています。財を守ることと、惜しまず施すことが、一つの教えの中に置かれています。

この経は、報酬の請求手続きを定めてはいません。それでも、支払われるはずの対価を確かめることまで、すべて執着だと責める必要はないと考える手がかりになります。家賃や生活費、仕事を続けるための費用を見ながら、約束された報酬を尋ねることができます。相手への憎しみを育てないようにすることと、未払いを曖昧にしないことは両立します。

最初の照会は、答えてほしいことを絞る

連絡する前に、入金口座や請求先、請求書を送った日を自分でも確認します。そのうえで、案件名と支払予定日を示し、入金状況を尋ねます。最初から過去の不満をすべて書くと、相手も何に回答すればよいかが見えにくくなります。

たとえば、「○月○日に納品した○○について、○月○日を支払予定日としてご案内いただいています。本日時点で入金を確認できていません。支払状況と入金予定日をお知らせいただけますか」と書けます。必要なら請求書を再添付し、どの案件かを確かめやすくします。

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「こちらも苦しいので、できれば払ってほしい」と、自分の困窮だけを理由にしなくてもよいのです。生活への影響は相談先に伝えつつ、取引先には、合意した条件と現在の状況を示せます。「お忙しいところすみません」を何度も重ねて、本題が小さくなる必要もありません。

電話で話した場合には、後から「本日のお話では、この日までにご回答いただけると理解しました」と確認を送る方法があります。相手から別の説明があれば、その返信も保存します。自分に都合よく書き換えるためでなく、双方の理解の違いを残さないための確認です。

返事が来ない時は、資料を持って相談する

同じ照会を繰り返しても進まない、減額を求められている、納品内容をめぐって争いがある。そうした場合には、次の連絡をどうするかも含めて専門家へ相談できます。自分で強い請求文を作り続けるだけにしない方法があります。

厚生労働省委託のフリーランス・トラブル110番は、第二東京弁護士会が運営し、受託した仕事の未払いなどについて弁護士が無料で相談を受けています。ただし、相談担当者が代理人として相手へ直接交渉する仕組みではなく、請求書面の作成も対象外です。利用できる助言の範囲を知ってから相談します。

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資料には、起きた順番と質問を添えます。「相手の説明をどう受け止めればよいか」「次の請求で何を確認するか」など、聞きたいことを絞れます。資料の不足を隠して筋の通った話にするより、分かっている点と分からない点をそのまま伝えます。相談したことで、回収や取引継続が決まるわけではありませんが、検討する方法を具体化できます。

次の依頼を、今回の未払いと混ぜない

未払いがあるまま新しい依頼が来たら、どの条件なら受けるかを考える時間を取れます。「前の案件の支払状況を確認してから、新しい案件の条件をお返事します」と、二つの話を分けることもできます。すでに引き受けた業務の中断や契約の解除を考える場合は、その影響も専門家に確認します。

新しい仕事では、作業範囲、修正の扱い、報酬、支払条件を始める前に確認します。相手を疑う儀式にするのでなく、忙しくなった後にも双方が戻れる記録を持つためです。家族への貸金を尋ねる時にも遠慮は生じますが、仕事では取引の記録が話し合いの土台になります。

相手からの返信を待つ時間には、不安が戻ることもあるでしょう。そのたびに新しい謝罪文を送る前に、すでに送った照会と、次に相談することを見直せます。今日必要な一通を、案件と確認事項が伝わる形に整える。そこから報酬の話を始められます。

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よくある質問

契約書が手元になくても、相談できますか?

契約が曖昧な場合も、フリーランス・トラブル110番は相談を受けています。依頼時のメールやメッセージ、見積り、納品時のやり取りなど、残っている資料を整理し、何が分からないかを伝えます。

フリーランス・トラブル110番が、代わりに請求してくれますか?

相談担当の弁護士がそのまま代理人となり、相手と直接交渉する窓口ではありません。請求書面の作成も対象外です。助言を受けながら次の方法を考え、代理人が必要な場合の相談先も確認します。

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