子どもがいじめをしたと知らされたら。親の謝罪と、その後の責任
学校から「お子さんが、いじめに関わっているという話があります」と連絡が来た。信じられない気持ちと、誰に何を言われるのだろうという恐れが一度に湧く。帰宅した子どもを問い詰めたくなる一方で、詳しく聞くのも怖い。
最初に必要なのは、被害を受けた子の安全を守り、起きたことを学校と確かめ、続いている行為を止めることです。親が深く恥じているかどうかだけでは、相手の安全は確かめられません。今、誰と何を確認するかに目を向けます。
学校の説明を、確かなことと未確認のことに分ける
連絡を受けた時点で、全ての事実が確定しているとは限りません。学校に、いつ、どこで、どんな行為があったと把握しているか、現在は何を確認しているかを尋ねます。被害を受けた子を守るため、今どのような対応をしているかも確かめます。メモには、学校から聞いたこと、子どもが話したこと、親自身の推測を分けて残します。「ふざけただけと本人は言っている」は、本人の説明です。それだけで、相手が受けた苦痛がなくなるわけではありません。「うちの子がするはずがない」という思いも、事実確認に代わるものにはなりません。
文部科学省の基本方針は、いじめたとされる子からも事実を聞き、確認された場合には、学校と保護者が連携して対応することを示しています。家で聞き取れたことを学校へ返し、確認の窓口と次の連絡の時期を相談できます。
子どもの話を聞く時、逃げ道と支えを混同しない
「なぜそんなことをしたの」と繰り返すと、親が納得する理由を答えることが中心になりがちです。「その時、誰がいて、あなたは何を言ったの」「その後はどうなったの」と、出来事を順に聞けます。本人の話と学校の説明が違えば、その違いも確かめる材料です。
責任を曖昧にしないことと、子どもの話を最後まで聞くことは両立します。親が怒りに任せて殴ったり、長時間責め続けたりすることも止めます。子どもを「悪い人間」と固定しても、何を変えるかは具体的になりません。
「やめたいけれど仲間が怖い」「断ると自分が標的になる」という事情が出てくる場合もあります。その事情を聞くことは、した行為を正当化するためではありません。再び同じ場面になった時に、誰へ知らせ、どう離れるかを学校と考えるためです。家庭だけで抱えず、必要に応じてスクールカウンセラーなどの支援も相談できます。
仏教の反省は、行いの前後を見る
パーリ経典の『中部』61、羅睺羅への教えでは、釈迦が鏡の用途を尋ね、身体、言葉、心の行いを繰り返し省みるよう説きます。これからすること、今していること、すでにしたことが、自分や他者、双方を苦しめるかを確かめる教えです。身や言葉による行いで害をもたらしたと分かった時には、師や修行の仲間にその行いを明らかにし、今後慎むことが説かれます。これは古代の弟子への修行の教えです。現代の学校での対応は、学校や専門家と具体的に進める必要があります。
それでも、懺悔について考える時の大切な手がかりになります。「自分はひどい」と言い続けるところで止まらず、行いを明らかにして、その次を変える。子どもには何をやめ、何を伝える必要があるのか。親にも、かばうために事実を小さく説明していないかを振り返る問いがあります。
謝りに行く前に、相手の意向を確かめる
早く謝りたいと思っても、突然家を訪ねることや、連絡先を探して直接話を求めることは、相手の負担になる場合があります。学校を通して、被害を受けた子と保護者が、どんな連絡や対応を望んでいるかを確かめます。会ってもらうことを、謝罪する側の都合だけで決められません。
謝罪の機会が設けられたら、確認された行為と、それによって傷つけたことを伝えます。「こちらにも事情があった」「そちらも悪かった」と、責任を相手へ戻す説明を混ぜないようにします。背景について相談する必要があるなら、学校との別の話として整理できます。
愛語が相手への慈しみから言葉を選ぶ教えであるように、謝罪でも相手をどう大切にするかが問われます。相手に「もう許す」と言ってもらうことを、謝罪の到達点にしないことです。返事を求め続けたり、その場で仲直りを促したりせず、相手の時間を守ります。
「もうやらない」の後を、学校と確かめる
文部科学省の基本方針は、謝罪だけでいじめを安易に解消としないよう求めています。行為が止んでいることと、被害を受けた子の心身の苦痛がなくなっていることなどを確認する必要があります。親の側で「謝ったから終わり」と区切ることはできません。
家では、相手について悪口を言い続けていないか、別の場所やオンラインで接触していないか、学校と決めた行動が守られているかを確かめます。何を、誰が、どのように確認するかを相談し、子どもが困った時に知らせる相手も決めておきます。親が全ての場面を見張ることだけに頼らない仕組みが必要です。
文科省の2026年1月の通知も、被害を受けた子の安全確保と、いじめをした子への指導、行為の背景の分析を求めています。
暴力や脅しなどの状況によっては、警察を含む関係機関との対応が必要になります。「子ども同士だから」と家庭内だけで収めることを急がず、学校と相談を続けます。
親自身の動揺にも、相談する場所を
罪悪感や怒りで子どもに落ち着いて接することが難しければ、親も学校の相談担当者などにその状態を伝えられます。相手の子や保護者の名前、出来事を、関係のない保護者のグループへ広げて説明することは避けます。親が支えを得ることと、当事者の情報を広めることは分けられます。
今夜は、学校へ確かめることを一つ書く。明日は、続けてはいけない行動を子どもと確認する。謝罪した後にも、学校からの連絡に向き合う。責任を引き受ける姿は、その後の日々にも表れていきます。
よくある質問
子どもが「自分はやっていない」と言ったら、どうすればよいですか?
本人の話を聞き、学校が把握している事実と、まだ確認していることを分けて確かめます。親の推測だけで否定したり、無理に認めさせたりせず、話の食い違いも学校に伝え、確認を続けます。その間も、相手への接触や嫌がらせが続かないよう相談します。
すぐに相手の家へ謝りに行くべきですか?
まず学校に相談し、被害を受けた子と保護者がどのような連絡や対応を望んでいるかを確認します。突然訪ねることや、会って謝ることを求めることが、相手の負担になる場合があります。謝罪の方法は、相手の安全と意向を踏まえて考えます。
謝罪したら、いじめは解決したと考えてよいですか?
謝罪だけで解消したと判断することはできません。文部科学省の基本方針でも、行為が止んでいることに加え、被害を受けた子の心身の苦痛などを確認する必要が示されています。親も学校と連携し、その後の行動と必要な支援を確かめ続けます。