お寺を避難先に考える前に、場所と役割を確かめる

近所のお寺に広い境内がある。高い場所に建っているので、災害が起きたらそこへ行こうと家族で話している。そんな時には、寺の名前に加えて、どの災害に対して、敷地のどこが使われるのかを確認しておけます。

お寺が担う災害時の役割は、地域の指定や協力の内容によって違います。境内への一時避難、避難生活を送る施設、井戸やトイレの提供を、同じ意味にまとめずに見ていきましょう。以下は、平時に避難先を確かめるための案内です。

危険から逃れる場所と、生活する施設

内閣府の説明では、「指定緊急避難場所」は、差し迫った災害の危険から逃れる場所です。洪水、土砂災害、地震、津波など、災害の種類ごとに市町村長が指定します。一方、「指定避難所」は、避難した人が一定期間滞在する施設です。同じ施設が両方を兼ねる場合もありますが、役割は区別されています。地図に避難先の印がある時は、印の説明まで読む必要があります。

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この違いは、家族と予定を話す時にも関わります。「まず危険から逃れる場所はここ」と「家に戻れない場合に滞在する場所はここ」を分けて確認します。二つの場所が違うなら、最初に着いた場所がその後の生活場所になるとは限りません。

寺名の隣にある「指定場所」の欄

大阪市天王寺区の案内には、地震や津波の際の一時避難場所として協力する寺院が載っています。たとえば圓通寺は駐車場と通路、宗惠院は通路、鳳林寺は広場・庭園・通路というように、指定された部分が書き分けられています。

この取組は、上町台地という地形や被害想定を踏まえたものです。「お寺は高い所にあるから安全」という、他の地域にも当てはまる規則ではありません。区の説明でも、一時的な避難や、収容避難先が確保されるまでの中継という役割が示されています。

寺の住所を知っていても、指定部分へ入る道まで分かっているでしょうか。普段の参拝で使う正面入口と、指定された通路との関係を、案内図や地域の防災訓練で確かめられます。庫裏や方丈などの建物を含む境内全体が、同じ用途で開放されると考えないことが大切です。

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井戸やトイレの協力は、避難所の指定とは別

京都府亀岡市の避難施設案内には、「災害時協力寺院」という区分があります。市が災害時に井戸、湧き水、トイレ、駐車場などの施設提供を要請できる寺院で、避難所としての扱いではないと明記されています。掲載の一覧には法蔵寺、極楽寺などが挙がっています。

この区分を見れば、地域の支え方が宿泊場所の提供だけではないことも分かります。協力寺院という名前から、食事、寝具、長期滞在まですべて用意されると想定してしまうと、実際の取決めとの間に差が生まれます。何を提供する協力なのかを読むことが、利用する側の備えになります。

また、井戸があるという情報と、その水を飲用できるという情報も同じではありません。必要な用途に使えるかは、提供時の案内で確かめます。お寺からの好意を頼りにする時にも、分からない条件を推測で埋めないようにします。

地図では災害の種類を選び、自治体の情報へ戻る

全国の指定情報を調べる入口に、国土地理院の避難場所・避難所データがあります。地理院地図では災害の種類を選んで表示でき、記号から施設名などを読めます。同院の利用案内は、未掲載や更新の遅れがあり得るため、最新の詳しい状況は市町村で確認するよう求めています。

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印刷した地図には、何の災害を想定して見たものかと、確認した日を添えられます。家族へ写真を送る場合も、寺の位置だけを切り抜くより、災害の種類や凡例が分かる形で渡します。受け取る人が別の災害にも使える地図だと思わないよう、必要な情報を残します。

一覧に寺が見当たらない時も、「書き忘れだろう」と自分で避難先へ追加せず、自治体の防災担当へ名称と所在地を示して尋ねます。寺から聞いた協力内容と、市の分類が違って見える場合には、どの用途の話かを照らし合わせられます。

平時に歩いて、入口まで確認する

地図を読むだけでは、家族が実際に移動する条件を捉えきれません。足元が安定している平時に、地域で案内された経路や訓練を通して、坂、階段、指定部分への入口を確認します。一人で歩く場合と、介助が必要な人と移動する場合では、準備したいことも変わります。

たとえば、家族の中で車椅子を使う人がいるなら、「寺の前まで行ける」だけでなく、指定部分まで段差なく入れるのかを確かめます。階段の存在に気づいた時は、家族で持ち上げればよいと決めてしまわず、別の経路や避難先を地域の担当者と相談する材料にします。

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住まいの中から外へ出る道も、備えの一部です。仏壇の地震対策では、倒れた物が出口をふさがない配置も扱っています。行き先を決めることと、そこへ向かうまでの準備を一緒に考えられます。

実際の災害では、被害や開設状況に応じた自治体の避難情報を確認します。普段から場所の役割と家族の移動条件を知っておくことが、その時の状況に応じて避難先を選ぶための準備になります。

よくある質問

境内が避難場所なら、本堂で泊まれますか?

境内の指定から、本堂での宿泊まで判断することはできません。指定されている場所、災害時の用途、実際の開設状況を確認します。緊急に身を寄せる場所と、一定期間生活する施設とは役割が異なります。

地震の避難場所は、大雨の時にも使えますか?

災害の種類ごとの確認が必要です。指定緊急避難場所は、地震、洪水、土砂災害などの種類別に指定されます。地域の一覧やハザードマップで、その時の災害に対応する場所を確かめます。

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